帯状疱疹はヘルペスウイルスというウイルスの一種によって引き起こされる病気です。顔、胸、お腹、背中 といった好発部位の他に体のいたるところに発症する可能性があり、患部に現れる水疱を伴った赤い発疹が特徴的で同時にチクチク、ヒリヒリといった言葉で表現される痛みが持続的に続くとても嫌な病気です。
この痛みが慢性化した状態を帯状疱疹後神経痛といいますが、最先端を誇る現代医学をもってしても治療が難しい痛みの一つです。
人に感染するヘルペスウイルスは8種類ありますが、帯状疱疹はその中の一つである水痘帯状疱疹ウイルス(ヒトヘルペスウイルス3型)というウイルスにより引き起こされる病気です。
私たちのほとんどが子供の頃感染した経験を持つ水痘(水ぼうそう)はこのウイルスの初期感染期で、この後ウイルスは体内の奥深く神経に沿って潜伏感染し、何十年もじっと潜んでいる状況が続きます。
そしてそのじっとしていたウイルスが何らかの原因で再活性化して現れる症状が帯状疱疹という状態です。
帯状疱疹は高齢者、HIV患者に頻発する特徴と、免疫不全の患者ではより重くなる傾向がありますが、明確な悪化因子は特定されていません。
普通は身体の片側に疼痛(チクチクヒリヒリ等)、違和感が数日(2~3日)続き、その後その部位に水疱を伴う赤い発疹が出現します。
その病変は一週間ほど続きますが、その後びらん、潰瘍、かさぶたの形成の順に経過し症状は収まっていく(皮膚病変は消褪していく)のが普通の経過です。
しかし稀には目に病変が及ぶ眼部帯状ヘルペスや耳帯状疱疹という顔面神経などへの帯状疱疹ウイルス感染が起こる場合があり、重度の耳痛、顔面神経麻痺、めまい、難聴等を起こすこともあります。
さらに、何と言ってもこの疾病の大変さは、感染再活性化したウイルスによって知覚神経が傷つけられ、帯状疱疹後神経痛という、治療が難しく耐え難い痛みを生み出す病態に移行することです。帯状疱疹に感染したすべての患者が帯状疱疹後神経痛に移行するわけではありませんが、
が大きな因子となると云われており、とくに年齢では60歳までは移行することは少ないが、60歳以上になるとその確率は高くなり、80歳以上になるとその確率は50%といわれています。
帯状疱疹治療は ①薬物療法 と ②非薬物療法 の二本立てで行われます。その主な目的は、皮膚症状が治った後も残り続ける帯状疱疹後神経痛といわれる病態への移行の防止と、神経が傷つけられるために起こる耐え難い疼痛の軽減です。そのための第一選択として早期の「抗ウイルス薬」による治療が必須で、理想的には皮膚病変が現れていない前駆症状期に行い、皮膚病変出現後は遅くとも72時間以内に行うべきだといわれています。
治療薬によりウイルスの増殖を抑え、感染規模(広さ、深さ)の拡大を防ぎ、ウイルスによる神経障害の程度を出来る限り軽度にする目的で行われるものですが、しかし何よりも肝要なことは出来る限り早い段階での医療機関への受診に尽きます。時間経過に伴って感染規模の拡大は進行し、その分帯状疱疹後神経痛への移行リスクは着実に高まるからです。不幸にも移行を阻止できなかった場合、その管理は非常に難しくなる場合が多く、治療も多くの場合、非常に難渋することが多くなります。
神経障害による痛みに対する手段としては、
ーーが同時に行われ、薬物療法では抗うつ薬や麻酔薬による神経ブロック法が行われたりオピオイド鎮痛薬が用いられたりする場合があります。
非薬物療法では経皮的通電神経刺激法や心理学的方法、行動療法なども用いられ、そういった方法の一つが鍼灸療法です。
鍼灸療法は現在行われている帯状疱疹後神経痛に対する治療法の中でも極めて安全で、また個性的な効果を表す治療法として大学病院などの医療現場でも用いられています。治療は ①局所患部(皮疹が見られる部位)に対する治療と ②帯状疱疹の感染というストレスによって引き起こされた付随症状(頭痛や肩凝り、不眠など)に対して同時に行われます。
帯状疱疹後神経痛の鍼灸治療は以下のようなものです。
小川東洋鍼灸院では帯状疱疹について、お悩みを受付けております。
少しでも皆様のお役に立てればと考えておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。